工事現場はゆかいな動物園!

工事現場で働く人たちが集まる建設業界で、ぼくが出会ったゆかいな仲間(動物?!)たちを、紹介していこうと思います。土木・建築の現場監督による観察記録。

仕事の話から犬の話へ・・・~建築監督クロッキー編5~

f:id:panboku409:20171231175932p:plain

「クロッキーワールドへようこそ!!」

 

工事名:グラウンド整備工事

作業内容:現場事務所での型枠工事の打ち合わせ。

安全指示:監督の話をよく聞くこと!

KY活動:わからないことは、すぐに聞く。

 

人員以下3名

土木監督のパンツ

建築監督のクロッキーさん

型枠屋の職長

 

それではご安全に!

 

 

・下請け業者との打合せ

今日は、ぼくとクロッキーさんと型枠屋さんの三人で、昼から打ち合わせをします。

今行っているRC造の建築物の基礎部分を施工するので、工程の調整をするためです。

さて、

今回は、どんな出来事が待ち構えているのでしょうか・・・

 

 

・型枠屋との打合せ①

打合せ時間になると、型枠屋さんが、現場事務所へ現われました。

軽くあいさつを済ませ、早速打ち合わせに入ります。

ぼくが進行役を務めて、工事の概要を説明します。

 

パ「それでは、基礎躯体工事の作業内容について説明します。

まず、

土工事で砕石事業と、捨てコンクリートまで打つので、そのあとの型枠工事が組み立てに入り、鉄筋工事が入ります。

そして、

コンクリート工事の打設をし、養生を置いて、型枠工事の解体で完成です。

この後の詳細については、クロッキーさんからお願いします。」

 

と話し、クロッキーさんに引き継ぎます。

 

ク「はじめまして、早速で悪いけど、躯体の墨出しを、型枠工事のほうで、やっといてよ!」

 

型「墨出しですか・・・わかりました。やっときます!」

 

ク「じゃあ、お願いね。」

 

型「ところで鉄筋工事は、いつから入りますか?」

 

ク「えーと、いつにしようかな?・・・いなくなったの。」

 

型「えっ?」

 

ク「いやね、犬がね・・・首輪を外して・・・」

 

型「・・・犬!・・・い、いぬとは?」

 

ク「うちで飼っている犬がいなくなったんだ。探さないと。」

 

型「え、いや、犬ではなく鉄筋工事です。」

 

ク「あ、鉄筋工事ね!来週の月曜日から入れるよ!」

 

ぼくは型枠屋さんを見ました。

口がポカーンと空いてます。

まちがいなく、クロッキーワールドへ連れていかれました。

 

そうです。

クロッキーさんは、ご高齢のため、突然、話が飛びます。

それも別の話に!

このあと、どんな打ち合わせになるか想像もつきませんが、ぼくは心の中で、ワクワクしながら話を聞いていました。

 

 

・型枠屋との打ち合わせ②

ひきつづき、打ち合わせを行います。

型枠屋がクロッキーさんに

 

型「いつから型枠の材料入れられますか?」

 

と、尋ねるとクロッキーさんは、

 

ク「えー、土工事の砕石事業が終わって・・・えーと・・・えー」

「えー・・・あー・・・えーと・・・」

 

と、なかなか次の言葉が出てきません。

ご高齢のため忘れています。少し痴呆が入ってます。

1分ほどたち、思い出したのか、クロッキーさんは話し始めます。

 

ク「いやー、行かなくては、いけなくなった。」

 

型「え・・・」

 

ク「病院。」

 

型「・・・」

 

ク「姉が入院したの!」

 

型「・・・」

 

またまた話が変わります。

今度は病院の話です。

ぼくは型枠屋さんを見ました。

固まってます・・・

マネキンのようです。

 

さらに、

 

ク「見舞いに行かなくては・・・土工事が終わって、重機を引き上げてから。」

 

と、病院の話に、工事の話を織り交ぜます。

 

ぼくは型枠屋さんを見ました。

メモを取ってます。

思考停止状態の中、とりあえずメモを・・・

 

 

・型枠屋との打ち合わせ③ 

さらに、工事の話に戻ったかと思うと、

 

ク「材料を搬入したら・・・犬を探さないと・・・」

 

と、犬の話に戻ります。

この話は10分ほど前に話してます。さっき聞いたばかりです。

それでもクロッキーさんは、初めて話すようにうれしそうに話します。

もう、何が何だか訳が分かりません。

工事の打ち合わせではなく、老人の世間話でもなく、「工事と犬と病院」のコラボレーション企画です。新しいジャンルの会話です。

 

ぼくは型枠屋さん見ました。

放心状態の型枠屋さんの心境を考えると、吹き出しそうになりますが、我慢します。

そして、

ふとメモ帳を見ると、何かの文字が見えました。

メモ帳いっぱいに書いてあります。

 

犬と病院の文字が・・・

 

それもたくさん・・・

 

ここでぼくは我慢できませんでした。

吹き出しました。

大爆笑です!

大笑いです!!

ぼくのその姿を、不思議そうに見つめるクロッキーさんと型枠屋さん。

何のことかもわからず、首をかしげながらも打ち合わせを続けました。

 

そんなこんなで、1時間ほどの打ち合わせが終わり、型枠屋さんは下を向いたまま、帰りました。

ぼくは、その型枠屋さんの姿を見て、いつ電話が掛かってきてもいいように、携帯の電源ボタンを入れ、現場へと向かいました。

 

 

・そのあと

やはり、型枠屋さんから電話がありました。

 

「一体何だったのか教えてほしい!」と・・・

 

まぁ、いろいろありましたが、それでもぼくは、クロッキーさんが大好きです。

これを励みにして、これからも、もっと頑張ろうと思います。

以上お疲れ様です。感謝!!