工事現場はゆかいな動物園!

工事現場で働く人たちが集まる建設業界で、ぼくが出会ったゆかいな仲間(動物?!)たちを、紹介していこうと思います。土木・建築の現場監督による観察記録。

測量時の神話~スタッフもち編~土木作業員ゴリゴリ編4~

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「初めての測量作業!けっしてウソではありません!」

 

工事名:市道の道路改良工事

作業内容:着工前の測量作業

安全指示:移動時に転ばないように!

KY活動:足元をよく見る。

 

人員は以下2名

監督のパンツ

作業員のゴリゴリ君

 

それではご安全に!!

 

 

・着工前の現地測量

今日の作業は、市道の道路拡幅工事における、着工前の測量を行います。

その中の水準点測量です。

レベルとスタッフを使い、高さを測ります。

朝一から、最近入社したばかりのゴリゴリくんと、二人で測量に出かけますが、

 

不安です・・・

と、いうのも、普通の現場作業と違い、確実と精度が求められます。

気が利いてないとできません。

何かあったら「間違いでした。」では許されません!

やり直しです!!

 

そんな作業を土木経験なしの元事務職のゴリゴリ君と、二人でやるのはとても不安ですが、とりあえず現場へ向かいました。

しかし、ここからぼくを楽しませてくれる、ゴリゴリ君の「数々の伝説」が生まれました。

 

 

レベルとスタッフ(その1)

現場へと到着し、早速測量の準備に取り掛かります。

まず、高さの基準となるベンチマーク(BM)を探し、レベルで見える範囲に、しかも施工の邪魔にならない位置に仮ベンチマーク(KBM)を作ります。

そして、ぼくがレベルをのぞき、ゴリゴリ君がスタッフを立てます。

朝から現場へ向かう車の中で一通りは教えたのですが、イマイチわからないような顔をしています。

だから実践で覚えてもらいます。

ぼくがゴリゴリ君に

 

「まず、BMのある場所へ行って、スタッフをまっすぐ、垂直に立てるように」

 

と、指示を出します。

しかし、現場経験0のゴリゴリ君、思うようにスタッフをまっすぐ立てることができません。

なのでぼくは指示を出します。

 

「おーい!(スタッフの)頭、ちょい右!!」

 

と、指示をしますが、なかなかスタッフは動きません。

 

「もうちょい右に傾けろー!」

 

と、さらに指示をしますが、なかなか動きません。

不思議に思ったぼくは、レベルから目を離し、ゴリゴリ君を見ると

 

なんと!

 

自分の頭を傾けています。

自分の頭を!

45度くらい傾けてます。

その姿に、面白かったぼくは、さらに指示を出します。

 

「もうちょっと、右!」

 

すると、

さらに頭を傾けます。

肩に耳が付くほどに。

そしてゴリゴリ君の一言

 

「これ以上は無理です!」

 

と、苦しそうに答えます。

ぼくは腹を抱えて笑いました。

 

「自分の頭を傾けてどうするの!」

 

と思いましたがゴリゴリ君は

真剣です。

本気でやってます!

そんなゴリゴリ君にもう一度優しく教え、次の作業に入ります。

 

 

レベルとスタッフ(その2)

スタッフをまっすぐ立てることが、できるようになったゴリゴリ君。

次の作業は、スタッフを前後に振る作業です。

スタッフを振り、一番小さな数字を読むことによって、誤差をなくします。

一通り振り方を教えて、ぼくは指示を出します。

 

「おーい!(スタッフを)振れー!!」

 

と、指示をしますが、スタッフは動きません。

 

「さっさと振れー!!」

 

と、さらに指示をしますが、なかなか動きません。

またか!

と思ったぼくは、レベルから目を離し、ゴリゴリ君を見ると

 

なんと!

今度は自分の頭を前後に振っています!

スタッフを振らずに自分の頭を!!

面白すぎます!!

その面白すぎるゴリゴリ君に、もっと振らせたら、どうなるのと思い

 

「もっと早く振れー!!」

 

指示を出すと、さらに振ります!

加速します!

一生懸命頭を振っています!!

まるでエックスジャパンのトシです!

名曲の【紅】が浮かんできます。

 

仕事中こんなに楽しむことができたぼくは幸せ者です。

そんなゴリゴリ君に、心の中でありがとうと言って、もう一度優しく説明してやりました。

 

 

・レベルとスタッフ(その3)

さあ、午後からの作業が始まります。

ひきつづき、レベルとスタッフを使った、水準測量を行います。

ぼくがゴリゴリ君に、レベルとスタッフを準備するように指示すると、午前の作業でなれたのか、知ったかぶりを始めます。

 

「わかってますって!それ以上は言わなくていいです!!」

 

と、調子に乗ってます!

ぼくに認めてもらいたいのか、猛ダッシュで、車に道具を取りに行きます。

 

そして、自信満々の顔でBMへ向かいます。

そして、BMに素早くスタッフを立てます!

そして、これでもかと、スタッフを前後に振ります!!

ぼくが見ても完璧です。

無駄な動きはありません!!

 

「早く見て!!」

 

と言わんばかりの顔でぼくを見ます!!

 

「ほめてくれ!」

 

と言わんばかりの顔でぼくを見ます!

そして、ぼくが一言。

 

「レベルは・・・」

 

 

「あ・・・」

 

と、一言だけのゴリゴリ君。

 

なんと!

 

レベルを持ってくるのを忘れてます。

レベルがないと見れません!

いくらぼくでも、肉眼じゃ無理です!!

ゴリゴリ君は、レベルがないぼくに向かって、一生懸命スタッフを振ったのです!!

 

レベルがないぼくに向かって・・・

忘れていたのです・・・

レベルの存在を・・・

 

ぼくは怒るどころか大爆笑です!

こんな人いません!!

なかなかいません!!

逸材です!

やはりダイヤモンドの原石です!!

 

ゴリゴリ君は、やってしまった感を出しながら、レベルを取りに向かいました。

恥ずかしそうに・・・

そのあとも、いろいろありながらも、無事に作業は終わりました。

 

 

・作業終了

多少、フィクションが入ってますが、8割は事実です!

すばらしい人です。素晴らしい作業員です。ぼくの宝物です。大事に育てます。

以上お疲れ様でした。感謝!!